ご挨拶

このたび、学会理事長をはじめ、関係者の皆様から多大なご支援とご協力をいただいて、日本ヒューマン・ケア心理学会学術集会第18回大会を、2016年9月24日(土曜日)、25日(日曜日)の2日間にわたり、埼玉県立大学において開催できますことを心より感謝申し上げます。

本学会は、看護、介護、世話などのヒューマン・ケアにかかわる諸現象を心理学的取り組みによって解明し、人間の健康及び福祉の向上を支援することを目的に、保健医療福祉分野および教育分野の学術的交流をしています。そこで今大会は、互いに保健医療福祉の発展を目指した学会である埼玉県立大学保健医療福祉科学学会との共同開催とし、二つの学会の学術的交流により、視野を広げてヒューマン・ケアから見つめたいと考えました。

わが国は急速な高齢化により、保健・医療・福祉においては「住まい」、「生活支援」、「医療」、「介護」、「予防」という視点から地域包括ケアの取り組みが始まり、さらに保健医療福祉分野を担う人材養成は重要になっています。しかし容易に人材不足は解消されず、とくに看護師養成では中堅看護師の就業定着率の低さが指摘され、看護師のキャリア開発の教育は課題を抱えています。

そこで、本学術集会のメインテーマは、「ヒューマンケアを支える専門職者のキャリア開発」とし、人材育成として中年期のキャリア支援の視点からどのような取り組みが重要であるかを探求したいと考えております。

基調講演は、成人期のアイデンティティ研究でご高名な岡本祐子先生(広島大学大学院・教授)に「アイデンティティ論からみたプロフェッションの生成と深化―「人」と「専門性」をどう育てるか―」をご講演いただきます。また二つの学会による共同シンポジウムとして「多職種連携の醍醐味と地域包括ケアへの展望」を企画しております。さらに、学術集会2日目の研修会では、『SPSSとAmosによる心理・調査データ解析』の著者としてもご存知の小塩真司先生(早稲田大学 文学学術院・教授)に、「ヒューマンケアにおける実証研究を支える調査法 A to Z」というテーマで、調査研究に関するノウハウを解説していただきます。本大会では、人のケアを見つめる二つの学会の共同学術集会を通して、多様な学術交流ができますことを期待しております。

新幹線が乗り入れる東京駅からは約1時間、大宮駅からは30分圏内でお出でいただける埼玉県越谷の地にて、皆様とお目にかかれますことを心よりお待ちしております。 

第18回大会準備委員会委員長 鈴木玲子(埼玉県立大学)